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大家として街の今を感じること

「アーケードフルーツ」

橋本光弘

ハシモト ミツヒロ

こんなことやってます

アーケードフルーツ 代表取締役

​約20物件の大家

昭和28年、空襲の傷跡が残るなか、沼津アーケード名店街は戦災復興の象徴として建設された。

そのアーケード名店街ができる前からそこに店を構える老舗フルーツ専門店、アーケードフルーツ。
90年間、フルーツの専門店として続けてきた。
代表取締役である本光弘さんは3代目。そして約20物件の大家でもある。

 

沼津駅から徒歩10分。
郊外の大型店に客足が伸びるなか、それでもこの場所で昔ながらの商売を続けることにこだわる。
長年、この商店街と街を見続けてきた橋本さん。

街の繁栄に可能性を感じ約40年前から店舗を中心として不動産物件を持ち始める。

その当時、アーケードフルーツ周辺の本町には沼津映画劇場をはじめ映画館が何軒か立ち並んでいた。
アーケード名店街には百貨店の松菱があり、アーケードフルーツも夜11時まで営業していた。
映画の上映が終わった夜中に
、お土産としてフルーツを買って帰る客の姿もあった。

その後、駅前に西武ができ、時代とともに賑わいは沼津駅南口に移る。
時代が変わり、人通りも変わった。

 

「沼津の街がにぎやかでないのが本当に寂しい」

それでも、今まで橋本さんの持つ物件の空き店舗は常に2、3件しかなかった。
昨年の12月、すべての物件で借り手が決まった。

時代に併せ、家賃やニーズなど調整する。自身が商店街で商いをし、日々街を見て、そして店子の目線でリアルな商いの感覚がいきているのだろう。

 

「物件を借りる人にはやはり長く借りてほしい。」
借りる人の商売が長く続くか、なんとなくわかるそうだ。
商いを始める人が誠実であったり、しっかりしている人だったり。

「でも、大家は借りたいと言ってくれた人の想いを断ることができない」

店子の物件の一つに“MARCHAND DE VIN Usaginoki”がある。
約5年前にワインを気軽に楽しめるスペイン風バルを始めた。
オーナーの落合さんとはじめて会った時、この人だったらやっていけるなと思ったそうだ。

落合さんはレストランでソムリエとして修行をし独立をするため店舗を地元の沼津で探していた。
この物件を気にいったが家賃的な事も含めて一度諦めた。
他の物件を何件も見てもどうしてもここがいいと思い決めた。
「出ていく時、原状回復をせず、そのままでいい」
橋本さんに優しく言われたことが決め手になったそうだ。

そして、落合さんは自分の理想の空間をつくるため床、壁、そして天井も張り替えた。

「オープンしてからも大家の橋本さんはお店に通ってくれたり応援をしてくれている。

物件は選べても、大家は選べない。だからとても親身になって意見を聞いてくれる大家さんと出会えた事は幸運でした」
と落合さん。

これからのこと

橋本さんはただ物件を貸すだけではなく、店子を応援しサポーターとしての役割を持つ。

不思議なことに、“物件”を貸す人と“物件”に興味を持ち借りる人が、お互いが“人”を選べないと言っていた。
サポーターとしての人気大家の物件が増えれば、街に質のいいコンテンツを持った店舗が集まり、その街はまた魅力的になるのかもしれない。

〈連絡先〉


アーケードフルーツ

tel:055-962−4485
沼津市町方町58