
まちのスキマに魅せる新たなカルチャー
「スキマcinema」
大木真実
オオキ マミ
こんなことやってます
daitai GRaPHiC グラフィックデザイナー
移動式ミニシアター「スキマcinema」主宰
現在はフリーランスのグラフィックデザイナー。
沼津市が取り組んでいるリノベーションまちづくりの冊子を作る依頼があり、それがきっかけで「ぬまづのまちあるき」という空き家見学ツアーに参加した。
その時に見学した狩野川沿いの空き蔵でひらめいた。この空間が映画館になったら・・・。
そんな妄想が「スキマcinema」という新しい試みを始めることにつながった。
まちにあるスキマ空間、空き家・空きビル・空き蔵・屋上などの小さな空間で映画を上映する移動式のミニシアターだ。
大阪で生まれ育ち、芸大卒業後、東京でデザインの仕事についた。結婚で沼津へ来て、現在は小学生になる娘がいる。
自分は沼津に住んで間もないが、わが子にはこの土地が“ふるさと”になる。だからこそ娘が青春時代を送るこの場所を面白くしたいと思った。
学生の頃ミニシアターにはまり、その映画の面白さを体験出来る場もあったらいいなと思っていた。
「駅前にあった単館上映系の面白い作品が観れる映画館がなくなっちゃって・・・。沼津にもこういう映画館があるんだ!と思っていた矢先に閉館してしまったのが残念でならなかったんです。」
そんな思いと色々なタイミングがつながり、初回上映会を開催するまでの行動につながった。
「上映会はもちろん、イベントを主催するのも何もかも初めてだったから、一回目の上映会は、本当に手探りで色々足りない部分だらけだったと思います」笑。
企画に賛同してくれた友人などとともに運営、飲食雑貨店などによる映画にちなんだフードや雑貨の販売、ワークショップなども開催。今後も仲間も増やしながら、ゆくゆくは事業としてまわしていけるようしていきたいと考えている。
「スキマcinemaは移動式。イメージはサーカスとかキャラバンとかそういう感じをコンセプトにしています。」きちんとイメージが決められ、ただ映画を観るだけではなく、空き家でも”観る空間”がしっかり作られている。シネコンのような座り心地がどうとか、音がどうとかではなく、一回一回何かが変わる会場、セレクトされた映画は一期一会。空き家でただ映画を観るだけのことではないことが伝わる。
子供たちが飽きずに自由に動くことができたり、思わず声をあげて笑ったり、感動して嗚咽が聞こえたり。
「ミニシアターのような小さな空間は、みんなで一つの作品を観ているという場の一体感も魅力の一つ。シネコンでは観れないような作品を観て、自由に感じてほしい。」
ロードショーだけが映画ではない、映画館だけが映画を観る場所ではない、沼津に新しいカルチャーを根付かせるべく、今後も試行錯誤しながら毎月最後の日曜日にスキマcinemaは開催していく。




これからのこと
スキマcinemaが沼津の日常の風景になることを目指しながら、本業であるデザインの仕事の方でも新たなプロジェクトを進めている。
「NUMAZU DESIGN CENTER」というグラフィックデザイナーのシェアオフィスを間もなく立ち上げる。
良質なデザインがまちにあふれ、センスの良さが文化的に感じられる様になればと希望を込める。
〈連絡先〉
スキマcinema
daitai GRaPHiC